神成淳司 (SHINJO, Atsushi)
工学博士
慶應義塾大学 環境情報学部 准教授
最近の興味
最近の私の興味は、主に以下の3点です。
1点目は、厳しい状況が続いている農業分野において、情報技術を用いて、補助金等に頼ることなく、持続的に発展していく社会システムを構築する事です。
この取り組みの一環として、平成20年度は、(株)阪食と連携した実証実験を実施しています。現在取り組まれている、農業分野におけるIT活用の多くは、個々の農家だけに着目したものです。もちろんこの取り組みが主体となるべきなのですが、それに加えて、産業構造として成立していくための、農家同士、あるいは流通卸小売りとの連携を見据えた社会システムが求められています。様々な企業や農家の方々に支えられながら研究開発を推進しています。
2 点目は、日本の競争力の源泉である「ものづくり」と情報技術とのコラボレーションの推進です。
現在、市販されている製造業向けソフトウェアの多くは、コスト低減を目的としたソリューションを支援する事に主眼がおかれた大企業向けのものです。しかし、コスト低減を進めるだけでは、人件費が高い日本の国際競争力を維持する事は出来ないでしょう。
「ものづくり王日本」の競争力を支えてきた、高い技術力を持つ中小規模の製造業の競争力強化は、10年後の日本経済を考えたとき不可欠な取り組みではないでしょうか。岐阜県内の中小製造業各社の協力により、彼らの競争力を維持し更に高めるためのソフトウェアの研究開発を行なっています。
3点目は、企業や地域に潜在する熟練者、卓越した技術の産業化です。
上述した2点と重なる部分もありますが、より個人に着目した取り組みとなります。この類の鳥組としては、スキルサイエンスという分野があり、そこでは人間の暗黙知の継承や形式知化に関する多数の研究が既に取り組まれています。私自身の興味がこれら既存の取り組みと異なるのは、暗黙知を捉える事よりも、暗黙知のどのような内容が、現実社会において産業として価値を持つかに注力しているという点です。内容によっては、核となる暗黙知部分よりもその周辺の細かい作業ノウハウが重要であるといったケースもあります。その場合には暗黙知を無視して、細かい作業ノウハウを中心とした取り組みを進めます。
いずれも共通するのが、「取り組みは、社会に供出して価値をなすもの」という意志が根底にあることです。もちろん基礎分野の研究の重要性は認識しております。ただ単に、私自身の主たる興味が異なっているのです。
略歴
1996年 慶應義塾大学政策メディア研究科修士課程修了
1996年 IAMAS(国際情報科学芸術アカデミー) 助手
2002年 IAMAS(国際情報科学芸術アカデミー) 講師
2003年 岐阜大学大学院工学研究科後期博士課程修了 博士(工学)
2007年 慶應義塾大学環境情報学部専任講師
2010年 慶應義塾大学環境情報学部准教授、現在に至る
主な兼務
2000-2006年 (財)ソフトピアジャパン 主任研究員
2000-2005年 岐阜県 情報技術顧問
2002-2006年 (独)防災科学研究所 共同研究員
2006-2009年 京都大学大学院情報学研究科非常勤講師
主な公職
- 日本政府
- 東日本大震災復興構想会議専門委員(2011)
- 政府における情報保全に関する検討委員会
情報保全システム有識者会議 構成員(2011)
- 内閣府
- 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
医療情報化に関するタスクフォース 構成員(2010-2011)
- 社会保障・税に関わる番号制度
情報連携基盤技術ワーキンググループ 構成員(2011)
- 農林水産省
- 農業分野における情報科学の活用等に係る研究会 委員(2009)
- AI農業・知的財産戦略検討委員会 座長(2010)
- 高齢化社会等に対応した新たな農業・農村モデル調査委員会 座長(2011)
- 経済産業省
- 産業構造審議会 情報分科会 構成員(2007-2009)
- ITを活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業 WG委員(2010-2011)
- 文部科学省
- ICTの活用による生涯学習支援事業 専門員(2011)
- 総務省
- 健康情報活用基盤構築事業 日本版EHR事業推進委員会 委員(2011)
所属学術団体等
- ロボカップ日本委員会 運営委員
- (社)人工知能学会 社会におけるAI 研究会 主査
- 計測自動制御学会 レスキュー工学部会幹事
- IEEE, AAAI, 農業情報学会, 日本ロボット学会, ヒューマンインタフェース学会 各会員
主な著述
- 計算不可能性を設計する, ウェイツ出版(2007)
- 複数のマテリアル複数のアーキテクト, 10+1, No.48, INAX出版(2007)
- 社会は計算可能か, 現代思想, Vol.36-14, pp230-237, 青土社(2008)